第5回 店側の都合でする接客の実例

投稿日: Oct 11, 2012 5:33:42 AM

このテーマはお客の立場でなくお店の都合やそのスタッフの都合で接客がなされているという事ですが、こんなお店がありました。

飲食店に行くとテーブルまで案内されますよね。高級店だけではなくファミリーレストランや居酒屋などでも今ではそれが当たり前のようになされています。ある大手チェーンの居酒屋で経験した話ですが、そのお店は入り口で靴を脱いで入るお店で、私が来店し靴を脱ごうとしていたときに、お店のスタッフが「いらっしゃいませ」とやってきました。何名かと聞かれたあと、「ご案内します」と言われた時は、私はまだ靴を靴箱に入れているときでした。そして案内してもらおうと振り返ったらそのスタッフはもういません。ホールに入りましたがやはりスタッフの姿は見当たりません。その場でキョロキョロしていたら、遠くのほうでさっきのスタッフがこちらを見ていました。そちらのほう行き、スタッフに「どの席?」と聞くとそのスタッフはあごをしゃくり上げながら「ここです」。

この場合の飲食店スタッフとしての対応には大きな問題がありますが、これもスタッフがお客の立場にない典型例です。ここまでひどくなくてもまともなご案内ができていない事がよくあります。お客に席の希望を聞き、なるべく期待に沿うようなテーブルに案内する。お客の歩調にあわせながらすすむ。段差等がある場合はさりげなく注意を促す等々。これらはどのお店でもマニュアルに似たような事が記されています。ですが完璧に実行されているのは居酒屋やファミレスクラスだとほとんど見かけません。この場合のご案内をきちんとするポイントはお客を気にする、お客をよく見て観察するだけです。ただそれだけの事ができないのならご案内などやめてしまえばいいのです。

そもそもファミレスクラスでのご案内はお客にとってはあまりメリットがありません。自分の好きなテーブルに着くほうがいいのですから。ではなぜ案内されるのかと言うとお店側の理由によるものです。例えば混んでいるときに少人数で大きなテーブルを使われたくない、スタッフの配置状態によりお客が均等になるように調整するため、お客の来店をスタッフが管理するためなどの理由によりご案内をしているのです。明らかに席が空いているのにいつまでも案内されず待たされた経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。忙しくてテーブルをすぐにかたずけられないから、お客を待たせておくというわけです。したがっておまりお客にとってメリットのないご案内をするのなら、もっとお客に好印象を与える事をすべきなのです。

お店に入って最初にお客と接する場所がご案内なのですから、お店の顔として、また気持ちよく食事をしてもらえるその第一歩として、お客の立場で考えたご案内を考える必要があると思います。